人気有名人とあなたの違いなんてものは実際には「僅差」に過ぎない!

いま世間的に話題になっている、人気のある芸能人とあなたとの違いはなんでしょう?

「顔もスタイルもいい!歌やダンスがうまいし、演技も素晴らしい。運動能力も高い。なにひとつ、自分が勝っているところなんかない」

存在自体が別世界のひと。平凡なじぶんとくらべるなんておこがましい!そんなふうに考えられるでしょうか。

戦後まもない日本人に夢や希望を与えた銀幕(映画スクリーン)の中の俳優・女優たちは当時スター、と呼ばれ、夜空に瞬く星にもたとえられ、我々一般市民の手には届かない存在だと思われていました。

お茶の間にテレビが普及するようになり、芸能人は憧れではありつつ、一般市民にとっても、グッと身近な存在になりました。

「そこらへんの、どこにでもいそうな若者、ちょっとかわいいだけの女の子に熱を上げてキャーキャー言うなんて…」とかつての「銀幕のスター」であった芸能人たちを懐かしむ声もありましたが、平成になると、「誰でも気軽に会いに行けるアイドル」がコンセプトになるなど、芸能人は、より近しい、親しみやすい存在へと変化していきました。

どんなに手を伸ばしても絶対に手に届かない、夜空の星ほど遠い憧れの対象であった「スター」から、ある程度の条件(関連グッズを購入するなど)を見たせば、気軽に手を触れる(握手してもらえる)ことのできる身近なアイドル。

実際、アイドルの身につけているものが若者たちの間でブームになることは過去何度もありました。

もちろん、手に届かぬ存在であった銀幕のスターの時代にも、着こなしや髪型が若い世代を中心にブームを巻き起こすことは何度もありました。

「昭和の銀幕スター」「平成のお茶の間アイドル」、そのどちらにも熱烈な支持者・崇拝者がおり、関連グッズにお金をつぎ込んだり、映画やステージを見に行ったり、特集記事の掲載された雑誌や、写真集を購入したりするファンが続出しました。

もっと言えば、江戸の時代にも、歌舞伎役者や相撲取りなど人気者の「姿絵」(似顔絵イラストですね)が昭和の世で言う「ブロマイド」の役割を果たしていたのですから、ここ100年、いやそれ以上の長きにわたり、なにかに憧れる人間の姿というのは変わらないのかも知れません。

崇拝や憧れ、というのは自分とかけ離れているからこそ、生じる感情ですが、「アイドルやスポーツ選手の活躍を自身の娘や息子の成長を見守るかのように応援する」というものや、「彼らがひたむきに頑張る姿に自分自身を投影する」といった形のものもあります。

肉親や、自分自身を重ねてみるほど、距離感の近いファン意識。となれば、有名人・芸能人はもう、手の届かない存在ではまったくありません。

かつての銀幕のスターだって、ダンスや歌唱、さらにトークに長けた平成のアイドルだって、広く公共に認知される前は、我々と変わらぬ一般人であったわけです。

ステージや、テレビのスタジオを離れれば、食事もすれば買い物もする、お風呂に入ればトイレにも行く、「ただの人間」なのです。

「オーラ」というコトバがありますが、芸能人は売れて、世間に注目されるようになることで洗練され、「オーラ」を纏うようになる。

「いや、一般人であったときから、すでに他人とは違っていた」などと、生まれながら特別だと思われる人も中にはいるのかもしれませんが、たいていの芸能人は、「大勢の人の目に日夜晒されることによって」立ち居振る舞いや、ファッションを意識し、その「有名人としての特別感」を獲得、構築していくのではないか、と思うのです。

言うなれば、我々一般人と芸能人・有名人の違いなど僅差。一般市民の我々だってちょっと意識するだけで、「特別な人間」になれるのです!